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誘惑する仏蘭西探偵小説1

誘惑する仏蘭西探偵小説1

 刊行直後に、というか。早速に、続編予告のようなものを出す事態になった。まことに困った異例のことだが、これは、政府得意の責任転嫁の論法を借りれば、国家非常事態宣言の影響による。
 書きあげた本のなかで、筆者は、フランス探偵小説についての常識的な項目をほとんど対象外に排除した。意図的な方針だったが、やはりこれは排除しないほうが、全体の論述からみて妥当な選択だった。しかし、今からでは遅い。出来うることは、「誘惑する仏蘭西探偵小説」について別巻を、新らたに書きくわえること以外にはない、と気づく。
 ルルーの『黄色い部屋の謎』に関して、エディプス神話のテーマが隠されている、という見解がある。わたしの感想は、同様の解釈ならカミュの『異邦人』にたいしても成り立つだろうといった程度の消極的なものだが、このあたりを、『北米探偵小説論21』が省略してしまったことも含めて考察しようとするのなら……。やはり一冊の別巻が必要となってくるわけである。

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