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ベルモンドがルパンだ

ベルモンドがルパンだ

 第三波襲来の恐怖のなか、「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」を観てきた。
 「伝説のアクション・スター」イメージに沿った番組なので、余計にそう感じたのか。ーールパンを演じるのは、この人しかいないと。
 ふりかえってみれば、ずいぶんさまざまな「顔」で登場していたスターだ。べつに芸域が広いわけでもないのに。
 ジョゼ・ジョヴァンニ世界のノワール男が好みだった。
 ヴァンチュラと組んだ『墓場なき野郎ども』や、ギャバンと組んだ『冬の猿』も忘れられない。
 レネ映画の薔薇の詐欺師スタビスキーとか、ウールリッチ原作のトリュフォー映画なんてのもある。
 とはいえ、一番にくるのは、ゴダール映画。
 『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』に短編『シャルロットとジュール』
 ベルモンドといえば、必ずこの三作を想い浮かべる。
 
 『プロフェッショナル』は、劇場初公開ということで観てきた。祖国に裏切られ、親友に裏切られた軍人スパイが、復讐のためにパリにもどってくる。ストーリーはシリアスだが、ベルモンドの顔はどこか超然としている。復讐に燃える男を、もう一人の自分が愉しみ、高みからせせら笑っているような「顔」だ。
 つまり、アルセーヌ・ルパンの晴れ姿だ。
 仮面のような素顔。素顔のような仮面。
 今回の「傑作選」のラインアップは、その路線中心といえる。
 ルパンの「千の顔」ベルモンド版だ。


 

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